天然ちゃんと2人の双子の王子様
早く、行かなきゃっ!
私はその一心で、屋上まで走っていた。
『はぁ…はぁ…』
屋上まで着くと、息切れ。
体力つけないとな…
そう思いながら、屋上のドアを開けた。
ガチャ
お昼休みに居た場所まで歩くと、そこには楽譜はなかった。
あれ?
ここに置いたと思うんだけど…
「これ探してる?」
後ろから声が聞こえて振り向くと
そこには楽譜を持った剣哉先輩が居た。
『はいっ。それです!』
よかったぁ~。
「放課後に林ちゃん来ると思って、持ってたんだよね」
はいっと渡されて、私は受け取った。
あれ?
剣哉先輩って、私のこと“林ちゃん"って呼んでなかったような…
『ありがとうございます。剣哉先輩』
「林ちゃん、俺は剣斗の方だよ」
名前を呼んでお礼をすると、「やだな~」と笑いながらそう返された。
『何言ってるんですか~。先輩は、剣哉先輩の方でしょ?』
剣哉先輩、何の冗談だろう?
嘘ついたって、何も出ないのに。