【BL】BLOVED
それとも俺が何か反応するのを待っているのだろうか。
……何て言えと。
『その子は彼女か?』とか?
それとも『可愛い彼女だな』?
……だめだ、まともな声で言える気がしねぇ。
彼女に怖がられるのがオチだ。
それでなくても女どもには『無口で怖い』というレッテルを貼られてるってのに。
この苛立たしい気分のまま言ったら、こんなか弱そうな女、気絶しかねん。
ぐるぐると考えているうちに、いつの間にか校門前に来ていた。
何を喋っていたのかは上の空だが、どうやら当たり障りなく生返事くらいはしていたようだ。
だが女の子の声は一言も聞かなかった気がする。
そしてそれは当たっていたようだ。
ユウキはずっと俺に話しかけていたらしく、女の子は今にも泣きそうな顔をしていたから。
そりゃあ、まあ、そうなるわな。
むっつりと黙り込んだ俺と、自分には全く話しかけてくれないユウキ。
女の子にはさぞ心細かったろう。