【BL】BLOVED
「じゃあユウキくん、わたし、教室先に行ってるね……っ」
昇降口でそう言った女の子が、果たして気付いたかどうかはわからない。
だが幼なじみの所以か、俺は気付いてしまった。
ユウキが一瞬『まだいたのか』という顔で女の子を見たことを。
そして声は出さずににっこりと笑うと、ひらひらと手を振った。
まるで、しっしっと払うかのように。
「ユウキ、お前結構鬼畜……?」
「ん? なにが?」
「いや、何でもねぇ……」
まさかユウキに限って、ヤったらはいサヨナラって奴じゃないだろうな?
女の子がタタタッと去っていく後ろを、またもや俺は気まずく感じながら、二人並んで歩く。
無言でいると、どうしても思考は去っていった女の子に戻る。