【BL】BLOVED


どきんっと心臓が跳ねた。


それでも平静を装い、とっさに否定をする。


そんな俺を見て、ユウキの顔は悲しみを帯びた。


「そっかぁ……」


否定した筈なのに、ユウキには通用しなかった。


悲しそうな顔をしているのは、俺が嘘をついたのがわかったからだろう。


それが証拠に、俺に向かって「誰?」と訊いてきたから。


「だからそんなんじゃねぇよ」


傷付けるとわかっていても、更に嘘を重ねるしかない俺。


言っても言わなくても傷付けるなら、言わない方がいい。


黙り込んでしまったユウキを心苦しく感じながら歩き、いつの間にか家の前へとついていた。


ユウキの家は隣にある。

少し気まずさを感じながらも、いつものように「じゃ、また明日な」と声をかけた。


無言のユウキの頭をわしゃわしゃとかき混ぜ、玄関に向かったその時。


「カズヤ」


後ろから呼び止める声がした。


< 6 / 20 >

この作品をシェア

pagetop