【BL】BLOVED
どきんっと心臓が跳ねた。
それでも平静を装い、とっさに否定をする。
そんな俺を見て、ユウキの顔は悲しみを帯びた。
「そっかぁ……」
否定した筈なのに、ユウキには通用しなかった。
悲しそうな顔をしているのは、俺が嘘をついたのがわかったからだろう。
それが証拠に、俺に向かって「誰?」と訊いてきたから。
「だからそんなんじゃねぇよ」
傷付けるとわかっていても、更に嘘を重ねるしかない俺。
言っても言わなくても傷付けるなら、言わない方がいい。
黙り込んでしまったユウキを心苦しく感じながら歩き、いつの間にか家の前へとついていた。
ユウキの家は隣にある。
少し気まずさを感じながらも、いつものように「じゃ、また明日な」と声をかけた。
無言のユウキの頭をわしゃわしゃとかき混ぜ、玄関に向かったその時。
「カズヤ」
後ろから呼び止める声がした。