私だけの王子さま
第1章 夏の始まり、恋の終わり
外見だけの彼氏
キーンコーンカーンコーン…………
1学期最後のHR終了を知らせるチャイムが鳴り響く。
それを遮るように聞こえてくる担任の低い声。
「えー明日からは夏休みだが、くれぐれも怠けないように!来年はもう受験生だからなー。今から気ぃ抜くなよー!!」
担任の言葉は虚しく、すでに夏休みモード突入の騒がしい雰囲気に飲み込まれている。
ザワザワ……
ザワザワ……
「ったく、お前ら人の話はちゃんと聞けよなー……」
修まることのない話し声に、軽くため息をついた後、切り替えたように口を開く。
「では、これでHRを終わりにする!」
その瞬間、すでに帰る準備を済ませていたみんなが一斉に立ち上がった。
もちろん、私もその一人。
相原柚季<アイハラユズキ>高校二年生。
たった今、待ちに待った17歳の夏休みが始まった。
この時は、まだ知らなかった。
この夏、私の人生が、大きく、変わり始めるなんて――。