私だけの王子さま
―――瞬間、頭の中が真っ白になった。
周りにいる人たちの会話も、全く聞こえない。
まるで光を失ったかのように、目の前が真っ暗だった。
今のままじゃ…
変われない…?
「どういう…こと…?」
自分でも声が震えているのが分かる。
唇を噛み締めながら、麻智に視線を向けた。
「…委員長との距離が開いていくことに不安になるのは分かるよ。
だけど、よく考えてみて。
…今までの柚季は、誰かに何かをしてもらうばかりだったでしょ?
自分で何かをしようとしたことある?」
「……」
何も言えなかった。
麻智の言っていることは…
正しかったから。
麻智の言う通りだ。
私は今まで、何かを‘してもらう’のが当たり前だった。
両親にも、祖父母にも、親戚にも。
友だちにも、彼氏にも、先生にも。
そして…
麻智や、委員長にも―――。