私だけの王子さま

決心



「ふぅ…」



あれから二日後。


今私は、例の老人ホームの前に立っている。



麻智の指摘によって、このままの自分ではダメだと気付いたのが一昨日。



昨日は、頭の中で色々なことを整理した。



そして今日、ある決意を胸にこの場所へやって来た。



‘また来なよ’

そう委員長に言われたからではない。



自分の意思で、ここに立っているんだ。



「よしっ!」



一人でいるのに、急にそんな声を上げたものだから、通りすがりの人たちが驚いた目で見ている。



私は、すいませんと一言謝ってから、中へと入っていった。



ウィーン…



自動ドアをくぐると、すぐ隣には、事務所が見える。



私は、もう一度、大きく深呼吸をすると、窓口をコンコンと二回ノックした。



「あれ!?君は確か夏祭りの時の…」



私に気付いた男性職員が、窓口を開けて、口を開いた。



「あっはい!相原と申します。


あの…花梨さん……


岡野さんはいますか?」



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