私だけの王子さま


その職員は、
「ちょっと待っててね」
と言うと、三階にいた花梨さんを呼び寄せてくれた。



「相原さん!?」



花梨さんは、私の突然の訪問に、目を丸くしていた。



「どうしたの?何かあった?

今日は、雪也くん来てないんだけど…」



どうやら、委員長に用事があると思っているようだ。



「いえ、違うんです。
今日は、花梨さんにお話があって…。

あと、本多さんにも…」



「え…。
私…と、本多さん?」



「はい」



花梨さんは、一瞬、驚いた表情を浮かべた後で、静かにこう言った。



「…そう。

じゃあ、まずは本多さんの所に行く?」



「え…」



「相原さんの目を見てれば分かる。
何か、よほどの強い意思があるんでしょう?」



やっぱり、花梨さんはすごい。



急な来訪にも関わらず、こうして温かく迎えてくれる。



私の意向を、
読み取ってくれる。



「はい…!お願いしますっ!」



私は、花梨さんと共に、二階にある本多さんの部屋へと向かった。




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