私だけの王子さま
帰り際の対面
「いやぁ…、相原さんがボランティアに入ってくれるなんて、やっとここも華やかになるな!」
帰り際、挨拶をするため、事務所に寄った時に、さっき出迎えてくれた男性職員が言った。
「宮田さん!それどういう意味ですかっ!」
すかさず、そんな声が聞こえて来たので、隣を見ると、花梨さんがぷぅっと両頬を膨らませていた。
宮田さんとは、おそらくその男性職員の名前だろう。
年齢は30歳くらいで、ガッチリとした身体つきをしている。
まさに‘男’という感じの人だった。
「あ…いや、岡野も十分華やかだけど、相原さんは、ほら、もっと若いし…ね?」
宮田さんは、慌ててフォローをしているようだったけれど、花梨さんは不機嫌なまま。
「私だって、まだ23歳です〜。」
横を向きながら、ボソッと呟いていた。
もしかしたら、花梨さんは、宮田さんのことが好きなのかもしれない。
普段は、凛としていて、大人の雰囲気を持っている花梨さんが、宮田さんの前だと別人のように可愛らしい。
それに、宮田さんの態度を見ていても、満更ではなさそうだった。