私だけの王子さま
びっくりして顔を上げると、そこには、いつもと変わらない笑顔の委員長の姿があった。
「あ、久しぶりってほどでもないか。3日前にも会ってるしな?」
3日前…という言葉に、一瞬だけドキッとしたけれど、委員長が気にしている様子は微塵も感じられなかった。
たったそれだけのことなのに、私の心の中にあった緊張の塊が溶けていくのが分かる。
「…うん!3日ぶり!」
これは、委員長の魔法なのだろうか?
いつの間にか、私を囲っていた張りつめた空気が、やんわりとした空気に変わっていた。
だけど、どうしてだろう?
今度は、委員長が黙り込んでいる。
私が不思議に思っていると、後ろから宮田さんの大きくて太い声が響いた。
「おい、雪也!お前、相原さんの笑顔に見とれてんなよ!言っとくけど、今後もこの中でイチャつくのは禁止だからなっ!」
「ははは…。」
その発言に、私は苦笑い。
だけど、委員長を見ると、その顔は真っ赤だった。
‘見とれる’なんて、冗談に決まっているのに、からかわれることに慣れていないらしい。
「そっ…そんなんじゃありませんよ!宮田さん、変なこと言わないで下さい!
…って、今‘今後も’って言いませんでした??」
すると、隣にいた花梨さんが、笑いながら言った。
「相原さん、明日からボランティアに来てくれることになったのよ。」