私だけの王子さま
「へ…?相原、そうなの?」
花梨さんの言葉を聞いて、委員長が再び私へと視線を戻した。
数秒前とは違う落ち着いた表情。
花梨さんと同じ、その切り替えの早さに驚きながらも、自分の意思を伝えた。
「うん。あれから、色々考えて、決めたんだ。」
この決意に迷いは全くない。
私は、委員長の瞳を真っ直ぐに見つめた。
「……そっか。
お互い、頑張ろうな!」
そう言って、私に手を差し出す委員長。
「…うんっ!」
私たちは、固く手を握り合った。
すると…。
「雪也くん、負けてられないわよ?」
突然、花梨さんがそんなことを言い出した。
「負けてられないって…。」
私も、委員長も顔を見合わせて首を傾げる。
「…だって、相原さん。きっと利用者さんに人気があるもの。
今までの雪也くんの立場、取られちゃうかもよ?」
「あ…。」
その時、委員長の顔に、少しだけ、焦りの色が感じられた。
それが、とても面白くて。
私も、花梨さんも、宮田さんも…。
その場にいた人たちは、皆、一斉に笑い出していた。