私だけの王子さま
私の中で、何かがプチンと切れる音がした。
「……るっ……!」
「え?」
「帰るっっ!!」
自分でも驚くほどの大声をあげて、アキラを睨み付ける。
それなのに、この男は何も感じないらしい。
「へっ?お前何怒ってんの?
帰るって、当然だろ?今お前ん家に向かってるんだぜ?」
どうして、あれほど最低なことを言っておいて、平気な顔をしているのだろう。
どうして、私は……、
こんな最低な男と付き合ってしまったのだろう―――?
私は、バカだ。
ついさっきまで、夏休み気分で浮かれていたのに。
こんなことなら、麻智たちとカラオケに行けば良かった。
「……めて……」
「はっ?」
「停めてっ!!」
私は、アキラが握っていたハンドルに思い切り手をかけた。
キキィーーッッ!!