私だけの王子さま


その中でも、やっぱり一番仲良しなのは本多さん。



この前、花梨さんか、折り紙が好きって聞いていたので、よく教えてもらっっていた。



その時に気付いたことだけれど、私はあまり器用ではないらしい。



本多さんの真似をして同じようにやっているのに、出来映えは全然違った。



「あれ…本多さん、私どこか間違ってます?」



「いいえ。間違ってはいないけれど、もう少し折り目を綺麗に付けると変わってくると思うわ。
大事なのは慣れだから」



こんな会話が繰り広げられることもしょっちゅうで。



私は、本多さんに進歩を見せたい一心で、密かに家で折り紙の特訓をすることもあった。



だけど、本多さんと話せば話すほど気になってくるのは、

‘なぜ、本多さんは、このホームにいるのか’

ということ。



歳のわりには、物忘れも少ないし、
移動は車椅子だけれど、食事などある程度のことなら一人で出来ている。



条件さえ揃えば、十分に在宅での生活が可能だと思えた。



< 120 / 220 >

この作品をシェア

pagetop