私だけの王子さま
その中でも、やっぱり一番仲良しなのは本多さん。
この前、花梨さんか、折り紙が好きって聞いていたので、よく教えてもらっっていた。
その時に気付いたことだけれど、私はあまり器用ではないらしい。
本多さんの真似をして同じようにやっているのに、出来映えは全然違った。
「あれ…本多さん、私どこか間違ってます?」
「いいえ。間違ってはいないけれど、もう少し折り目を綺麗に付けると変わってくると思うわ。
大事なのは慣れだから」
こんな会話が繰り広げられることもしょっちゅうで。
私は、本多さんに進歩を見せたい一心で、密かに家で折り紙の特訓をすることもあった。
だけど、本多さんと話せば話すほど気になってくるのは、
‘なぜ、本多さんは、このホームにいるのか’
ということ。
歳のわりには、物忘れも少ないし、
移動は車椅子だけれど、食事などある程度のことなら一人で出来ている。
条件さえ揃えば、十分に在宅での生活が可能だと思えた。