私だけの王子さま
…本多さんにとっても。
舞さんの死は、相当堪えたはずだ。
それなのに、本多さんは家族と離れることを選んだ。
きっと、それ以上負担をかけたくなかったのだろう。
本多さんの気持ちを思うと、居たたまれない気持ちになった。
聞かなかった方が良かったのかもしれないとさえ思った。
だけど、花梨さんが言ってくれたんだ。
「本多さんね。相原さんが来てから、すごく生き生きとしているの。
だから、これからも…よろしくね?」
花梨さんは‘プロ’の顔をしていた。
その時、強く感じた。
私の存在が、誰かの役に立っているんだって。
だから、それに応えたい。
それが、ボランティアの私にできること。
本多さんに‘真っ直ぐな私’を見せること―――。
「…はい!」
私は、大きく頷いた。
今日帰ったら、また、折り紙の練習をしよう。
そう思い、話を終えた私は立ち上がろと腰を浮かせた。
「あ、ちょっと待って!相原さん…!!」
「へ…?」