私だけの王子さま
急に呼び止められたせいで、間抜けな声が出てしまった。
それに、体勢も中途半端なままだ。
「どうか…しましたか?」
浮かせた腰を元に戻しながら、恐る恐る尋ねてみた。
「…まだ、話したいことがあるの。
時間取ってもらってもいい?」
「あ、はい。でも、花梨さん仕事は…」
「大丈夫。すぐに終わるから…」
どことなく、花梨さんの顔が険しい。
それだけで、今からの話が笑って話せる内容ではないことが分かる。
再び、向かい合う形になった私たちだったけれど、その間には何とも言いがたい緊張感が漂っていた。
「…ここからの話は、職員としてじゃなくて、一人の人間として話すね…?」
花梨さんが、少しだけ躊躇いながら言った。
職員としてではなく、
一人の人間として…?
最初は何だろうって疑問に思っていた。
だけど、よく考えたらすぐに答えが出たんだ。
「もしかして…
委員長の…ことですか?」