私だけの王子さま
‘初めて’
――違和感を覚えた。
だって、私は見たことがあるから。
夏祭りの日の朝、委員長が見せた真っ赤な顔…。
「私ね、すごく驚いた。
雪也くんもあんな顔するんだって。
そうさせてしまう相原さんは、特別な存在なんだろうなって。
だから、その後で聞いてみたの。
相原さんは知ってるのって…」
「あ…」
私は、自動ドアの前でこっそり聞いた二人の会話を思い出した。
あの後、何も聞かなかったフリをして帰ったんだ。
「雪也くん、怖いんだと思う。
相原さんに知られてしまうのが…。
だけど、どこかで気付いてもらいたいって、そう思ってる。
だから…支えてあげて?雪也くんのこと…」
「…」
何も言えなかった。
委員長の抱える思いを知る。
それは、私にはまだ早いと思っていた。
ここで色々な経験をして、強い心になってからって…。
だけど――…
委員長が‘今’支えを必要としているなら。
それなら、私は―――……。
「花梨さん!
委員長の家、知ってますか!?」