私だけの王子さま



ねぇ、委員長?


委員長は今、何を考えてる?
何を思ってる?


もし今、辛い思いをしているならもう少しだけ待っていて欲しい。


今度は、私が委員長を救うから。


一学期最後の日、委員長が私を温かい心で包んでくれたように…。







「この辺だと思うんだけどなぁ…」


私は、電柱にある住所を見ながら呟いた。


降車駅に着いてから、もう15分ほど歩いている。


住所を見ると、委員長の家は一軒家らしい。


多数ある家の中から‘沢村’という表札を探した。



そして、5、6軒ほど見たところで

「あった…」

ついに見つけたんだ。


二階建ての黒い屋根。
落ち着いた雰囲気の庭に、大きな木が2本そびえ立っている。


表札には『沢村』の文字が、しっかりと刻まれていた。


一階には、誰もいないのか灯りがついていない。


だけど、二階の窓を見ると一室だけ明るいのが分かる。


緊張からか、インターホンを押す指が震える。


心臓がドキドキしているのが分かった。


ぎゅっと目を瞑り、大きく息を吸った後。



ピンポーン…








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