私だけの王子さま



「……あれ?」


インターホンを押したのに反応がない。


留守…?


そう思い、もう一度二階の窓を見たが、間違いなく電気が灯っている。


せっかくここまで来たのに、会えないの?


確認のために、再びインターホンに指を当てようとした。


その時――…




ガチャッ…


突然、玄関のドアが開いた。

中から出てきたのは、委員長。

出かけるところだったのか、帽子を被っている。


ドアを閉め、鍵を掛けた委員長はゆっくりと振り返った。


「えっ!?相原…?」


門の前に立っていた私を見て、委員長の動きが止まった。


でも、それもほんの数秒間だけ。


私の方に、ゆっくりと歩み寄ってくる。


次の瞬間、キィーという微かな音とともに門が開いた。



「相原…どうしてここに?」


委員長が私に問いかけた。


「あ…えっと、花梨さんに聞いて…。
さっき一回インターホン押したんだけど…」


予定していなかった状況に、うまく対応できない。


「あぁ、さっきの相原だったんだ?
どうせ、何かの営業かなって思って出なかったんだよね。
少し時間がたったから、帰ったと思った」


委員長は、そう言いながら笑っていた。



でも――…











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