私だけの王子さま
「相原、変わったよな」
「え…?」
「何て言うか、強くなった」
「そう…かな」
少し離れて歩く二人の影が、道路に伸びている。
私はそれを、ぼんやりと眺めながら話していた。
「痛っ!」
下を向いていたせいで、急に委員長が立ち止まったことに気が付かなかった。
「ごめっ…、大丈夫?」
ぶつかった鼻を押さえながら、委員長の様子をうかがう。
でも…。
「委員…長…?」
委員長は、立ち止まったまま動こうとしなかった。
言い様のない不安が私を襲う。
「委員長、どうしたの…?」
ただ話しかけることしかできない……。
「変わったよ…本当に…」
しばらくして、さっきよりも更に小さい声で委員長が呟いた。
「それなのに、俺は……
いつまでたっても、弱いままだっ……!!」
そして、次の瞬間―――…
ぎゅっ―――…