私だけの王子さま
神様は、意地悪だ。
私が、委員長の心に近付く度に、引き離す。
地元が同じというだけでなく、中学の先輩後輩だったという二人。
その間には、明らかに異様な雰囲気が流れていた。
「まさか、俺の次が雪也だったとは…。
柚、お前本当にバカな女だな」
「は…?」
アキラの視線が、再び私へと向けられた。
冷たい瞳の奥で、今の状況を楽しんでいるように見える。
本当に最低な男。
「アキラ、あんた一体何が言いたいわけ?」
いきなりバカなんて言われて、内心は、怒鳴り付けたい気持ちでいっぱいだった。
だけど、そんなことをしたら、アキラの思う壺だ。
私は、沸き上がってくる感情を、必死に押さえ付けていた。
それなのに、アキラの暴走は止まらない。
「柚、良いこと教えてやるよ。
コイツは―――」
アキラがそう言いかけた時、委員長の口が、微かに動いた。
「……て……さい」