私だけの王子さま
「委員長っ!!」
私は、大きな声で呼び止めた。
でも、委員長は振り向かない。
あの時と同じ。
夏祭りの夜、委員長の帰る場所を尋ねた時。
…また、戻ってしまうの?
せっかく開きかけた委員長の心のドア。
このままでは、再び、鍵がかかってしまう。
追いかけなきゃ――!!
そう思い、慌てて足を踏み出そうとした。
でも、同時に強い力で腕を掴まれてしまった。
「待てよ、柚」
街灯で照らされる夜道に、アキラの冷たい声が響く。
「離してよっ!」
必死で抵抗しているのに、アキラは顔色ひとつ変えずに立っている。
「お前、アイツが昔何をやってたか知ってんのかよ?
俺の仲間だったんだぜ?」
「は…?」
アキラの仲間―――?
「嫌なんじゃなかったっけ?
品定めする奴」
「!!」