私だけの王子さま
あぁ。
私は何を迷っていたんだろう?
最初から、答えは一つしかない。
私の行くべき道は、決まってるんだ。
「アキラ…」
「何だよ?
俺のこと、信じる気になった?」
一瞬だけ、アキラが私を掴む力を緩める。
その瞬間――。
バシッ!!
私は、アキラの手を引き離すと同時に、委員長の帽子を取り返した。
「なっ!?お前…」
アキラは、驚きのあまり、言葉を失っている。
「あんたみたいな最低男の話なんて、誰が信じると思ってるの?
もう二度と、私たちの前に現れないでっ!」
私は、それだけ吐き捨てると、委員長が走り去った方へと向かって、走り出した。
「お前、後悔しても知らねぇからなっ!」
後ろから、アキラの叫ぶ声が聞こえたけれど、もう私の意思は固まっていた。
分かれ道のもう一つ。
それは、何があっても、委員長を信じる道。
だって、さっき‘ここにいる’って言ったばかりなんだ。
何が真実であっても構わない。
私は、それを受け入れるから…。
それが私の、
選んだ道だから――。