私だけの王子さま
アキラとのことがあった日、公園で泣いていた私を優しい言葉で励ましてくれた委員長。
私はその時、話を聞いてもらって、すごく安心出来た。
でも、その委員長が、今日は私の隣で泣いている。
この前とは正反対の状況で、私が委員長にしてあげられることは一つしかないと思った。
私は、持っていた帽子を委員長に被せると、膝を抱えてうずくまっていた彼の手をそっと握った。
その手は、夏を忘れさせるほど冷たくて、咄嗟に両手で包み込む。
すると、しばらくたってから、委員長が消え入るような声で呟いた。
「あったかい…」
私たちの心が、一つになった瞬間だった。