私だけの王子さま
真実
‘でも’
そう言ったきり、委員長はしばらく黙り込んでしまった。
その瞳から、再び流れ出す涙。
今こそ、私が支えてあげなければならない―――。
そう思った。
「委員長、大丈夫だから」
私は、それだけ言うと、軽く握るだけだった手を、ギュッと包み直した。
すると、委員長は、再びゆっくりと話し始めた…。
「…中学に入ってからは、塾やら家庭教師やらで、ますます時間を奪われるようになってさ。
最初のうちは、それでも母親の目を盗んでは、ばあちゃんに会いに行ってた。
でも…もう限界だったんだ…。
そんな時出会ったのが、アキラ先輩だった…」
「アキラ…」
本当は、もう名前も聞きたくない。
だけど、さっきの話を聞く限り、アキラはきっと、委員長の過去の中で、重要な鍵を握っている。
私は、一旦目を瞑り、ざわつく心を落ち着かせた。