私だけの王子さま
委員長がアキラの仲間に入ったのは、中学一年生の秋だったらしい。
ただ、集まって遊んでるだけだからと言われたそうだ。
でも、その遊びこそが、この前アキラが私にしようとした、最低な行為で。
何も知らず、ただ現実から逃げ出したかっただけの委員長を巻き込んだのだ。
何度も抜けたいと頼んだ委員長。
でも、アキラは、それを聞き入れようとはしなかったという。
「―――その頃は、両親との仲もすっかり冷めていたから、俺が頼れるのは、ばあちゃんだけだった。
心配はかけたくなかったから、何をやっているかなんて言えなかったけど…。
ばあちゃんといると、何もかも忘れることが出来たんだ」
「…そう…だったんだ…」
―――中学一年生。
私が、心に闇を作った時。
委員長は、そんな大きな問題を、一人で抱え込んでいたんだ…。
その時の委員長の気持ちを考えると、私の心の奥までズキッと痛むような気がした。