私だけの王子さま


「ばあちゃんの家から学校までは、電車に乗らなきゃで。

着いた時には、メールが来てから30分以上が経ってた。

もうメンバーの全員が集まってて、俺はいきなり周りをズラッと囲まれた…」




―――それを聞いた瞬間、私の背筋に緊張が走った。



囲まれて…それで?



最悪の事態を想像し、私は思わず目を閉じた。



でも―――





「殴られるって思った時、先輩が言ったんだ。

‘お前はもう、用なしだ’って…。

理由は、新しいメンバーを見つけたからだった。

俺を呼んだのは、ただ口止めをするため…」




…それは、よく考えてみれば、アキラのやりそうなことだ。



女だけではなく、自分から誘った仲間でさえも、平気で使い捨てる。



そんな最低なことが、どうして出来るのだろう?



私が、怒りを募らせていると、今までは比較的落ち着いていた委員長が、急にガタガタと震え始めた。



そう。



委員長を苦しめる事態が起きたのは、この後すぐだったんだ…。



委員長がおばあさんを置いて、出掛けていたほんの一時間ほどの間に―――。





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