私だけの王子さま

繋がった糸



「ねぇ…委員長。
いくつか、質問してもいい?」


委員長の涙が落ち着いて来た頃、私はそう切り出した。


「質…問?」


私の問いかけに、委員長がやっと顔を上げる。


そして、涙で濡れた顔を腕でゴシゴシと拭くと、鼻をすすりながら、「うん」と頷いた。




「少し前にね、麻智に聞いたんだけど…。

私のこと、前から心配してくれてたの?」


「え…?」



これは、ずっと気になっていたことの一つ。


何回も聞こうとしたけれど、いつも勇気がなくて聞けなかった。



「何か、‘昔の俺と似てる目をしてる’って言ってたんでしょ?」


「あー…」


委員長は、何かを思い出すように空を見上げた。



「…相原さ。

自分では気付いてなかったかもしれないけど…。

すごく、寂しそうな目をしてたんだ」


「寂し…そうな目?」


「うん。

どこか、助けを求めてるような…そんな感じの目」



――委員長の言葉は、意外だった。


その頃の私は、まだ感情なんて知らなくて、
誰とも深く関わろうとしていなかったから。


私、そんな寂しそうにしてたんだ…。




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