私だけの王子さま
「全然…気が付かなかった」
私が呟くと、委員長は少しだけ笑みを浮かべた。
「…だから、俺と似てるって思ったんだ。
俺も、ボランティアを始めるまでは、殆んど誰にも話さずに溜め込んでたから」
「そっか…」
それがあったから、あの時私に言ってくれたこと、すごく心に染みて来たんだ…。
内容は違うけれど、二人とも、傷を抱えて生きてきた人間だから。
私が勝手に納得していると、今度は委員長が尋ねてきた。
「…次は?」
「えっ!?」
「だって、いくつかって言ったじゃん。
まだあるんだろ?
それに俺、今なら、相原に何でも話せるような気がするんだ」
そう口にした委員長の表情は、ついさっきまでとは全然違って。
胸につかえていたものが取れたかのように、爽やかだった。
でも、委員長は気付いているのだろうか?
さりげなく今、
‘相原になら’って言ってくれたこと。
それって…花梨さんの言うように、私だけ特別って思っていいのかな?
「じゃあ…もう一つ聞いていい?」
「どうぞ?」
「いつも…ボランティアの後、どこに行ってたの?」