私だけの王子さま


私がその質問をした時、一瞬だけ委員長の動きが止まった。


本当に一瞬だけ。


でも、その様子を見て、私は確信したんだ。



「…もしかして、亡くなったおばあさんの…?」


委員長は、静かに頷いた。


そして―――



「ばあちゃんが死んでから、誰も住んではないけど…。
俺は、忘れたくないから。
ばあちゃんとの思い出」




おばあさんと過ごした日々。


それは、委員長にとって、かけがえのない大切な思い出…。


きっと、ボランティアでお年寄りと接しながら、思い出していたのだろう。


だから、あんなに優しい笑顔をしていたんだ。



それに、委員長が介護の仕事をしたいと思ったのも、テレビで見たのがきっかけじゃない。


おばあさんのことがあったからなんだと思った。


そう考えると、つじつまが合う。




この時、私の中でバラバラになっていた糸くずが、一本に繋がった気がした。





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