私だけの王子さま
「今日は、ありがとう。
ほら、ちゃんとお礼言ってなかったから」
少し照れながら言う委員長。
「…別にいいのに、そんな改まらなくても」
あんなに大声で呼び止めるから、何事かと思った。
でも、どうやら、目的はそれだけだったようだ。
「お互い様でしょ?」
私が言うと、委員長は首を横に振っている。
「いや、ケジメだから。
俺、相原に話せて本当に良かったと思ってる。
おかげで気持ちが楽になったよ」
「え…本当に?」
「うん。これでやっと、前に進めるような気がする。
両親ともさ、今だに関係良くなかったけど…。
ちゃんと、話してみるよ。俺の気持ち」
「…大丈夫?」
少し不安げに問いかけた私。
でも、委員長は爽やかな笑顔で言ってくれたんだ。
「だって、何があっても、相原がいてくれるんだろ?」
――それは、私がいちばん聞きたかった言葉だった。