私だけの王子さま
「へ…?」
目の前にあった委員長の顔が、突然なくなった。
…と思ったら、身体を深く曲げて、頭を下げている。
「えっちょ…委員長、どうしたの!?」
慌てて尋ねると、委員長はゆっくりと姿勢を戻した。
だけど、何だか目が泳いでいる。
「雪也くん…?」
花梨さんも、心配そうな表情を浮かべている。
そのまま、しばらく黙り込む委員長。
私は、気が気ではなかった。
だって、顔を見た途端、ごめんって謝られても、全く意味が分からない。
今さら、昨日のことは、やっぱり嘘だった…とか?
いや、委員長に限って、そんなことはないはずだ。
すると、今の空気を感じ取ったのか、委員長がようやく口を開いた。
「あのさ…」
「うん…」
委員長は、斜め下を向いたままだった。
「昨日…俺…かなり弱ってて…。
だから、その…」
「…」
何か、いつまでたっても、モゴモゴとしている委員長に、イライラしてきてしまう。
「委員長、何?
はっきり言って欲しいんだけど…」
私がそう言うと、花梨さんも大きく頷いた。