私だけの王子さま


きっと今、私の顔は赤いと思う。


だから、本当は笑顔で‘怒ってないよ’って言いたかったのに、無愛想な感じになってしまった。


これじゃあ、いくら怒っていないと言っても、説得力がない。



「…本当に、怒ってない?」


ほら、やっぱり…。

委員長は、恐る恐る聞いてくる。


今度こそ、しっかりと伝えなければいけない。


私は、ドキドキする気持ちを抑えるため、委員長にバレないように小さく息を吐いた。



「本当に、怒ってないよ」


今度は、ちゃんと委員長の目を見て言うことが出来たはず。



すると、委員長は、照れたように首元に手を回しながら、安心したように笑った。


「良かった。

俺、昨日家に帰ってから思い出して、すごく後悔してたんだ。

あの時は、話したら軽蔑されるかなって思うと不安で、余裕なくて…」



そう言いながらハハッと笑う委員長を見て、何だか嬉しいような、寂しいような…複雑な気持ちだった。



抱き締めてくれたという事実がある一方で、それを必死で打ち消そうとしているような気がしたからだ。


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