私だけの王子さま
「でも、委員長…。
さっきの、花梨さんに、聞こえてたよ」
「へ…?」
委員長は、私が突然、花梨さんの名前を出したことに驚いたようだった。
だけど、少したつと、みるみる顔が赤くなってくる。
「どうしよう…。
俺、今日相原に会ったら、すぐに謝らなきゃって思ってたから、花梨さんの存在忘れてた…」
委員長は、頭を抱えて、その場に座り込んでしまった。
だけど、きっと委員長が気にしているのは、花梨さん自身のことではないだろう。
花梨さんと仲のいい、宮田さんにからかわれることを心配しているのだ。
抱き締めたなんてことが伝わったら、確実に宮田さんのオモチャにされてしまう。
でも…もしそうなった時、委員長はどう説明するのだろう?
素直に認める?
それとも、
また、必死で言い訳をする?