私だけの王子さま
だけど、私のほんの僅かな期待も、委員長の次の一言で、あっさりと消え失せた。
委員長は、何かを決意したようにスクッと立ち上がると、真剣な眼差しで言ったんだ。
「相原、大丈夫。
勘違いされないように、俺ちゃんと否定するからっ!」
「……」
溜め息が出そうになった。
委員長って…、実はかなり鈍感らしい。
いつも皆の前に立っている時は、全体を見る目があると思っていたのに…。
昨日、委員長に近付けたことを嬉しいと感じたのは、私だけなのだろうか?
「…別に否定しなくてもいいのに」
ボソッと呟いた私に、委員長が反応する。
「え!?今、何か言った?」
「…何でもない。
私、本多さんの所に行って来る!」
クルッと背を向けて、歩き出した私を、委員長は不思議そうに眺めていた。