私だけの王子さま
本当は、分かってる。
ただ支えたい、そばにいたいって思っているだけでは、何も始まらないこと。
いくら、委員長が私に心を開いてくれたとはいえ、ちゃんと‘好き’って伝えなければ、私たちの関係は先には進まない。
自惚れているわけではないけれど、たぶん委員長も私のことを、多少は意識してくれていると思う。
確かに、最初は同情だと思っていた。
だけど、お互いに特別な存在であることが分かった以上、今は違うはずだ。
それなのに、委員長の気持ちが見えないのは何故なのだろう?
「はぁ…」
私は、委員長から見えない所まで来ると、ついに溜め息を吐いてしまった。
今まで、ちゃんとした恋愛をして来なかった私。
‘好き’を伝えるのが、こんなにも難しいことだったなんて、知らなかった。
心にそんなモヤモヤを抱えながら、私は本多さんの部屋へと向かった。