私だけの王子さま
「3日後…か」
横目でチラッと見たカレンダーには、その日に赤いペンで大きく丸印が付けられている。
「その日、何か…あるんですか?」
私が問いかけると、花梨さんは、急にそのカレンダーをひっくり返した。
「…ううん。
これは…職員会議の印。
忘れないように、目立たせてあるの」
明らかに、様子がおかしい。
だけど、こういった施設で働く職員には、色々と話せない事情があるものだ。
昨日、本多さんの話をしてもらった時も、すごく慎重だった。
だから、今日は聞かないことにした。
「じゃあ、また来ますね!」
「あ…うん、またね」
そんな当たり前のやり取りをして、帰ってしまったんだ。