私だけの王子さま
ウィーン…
私に反応して、自動ドアが開く。
すると、そこには、脚立に乗った宮田さんと、それを押さえつつ、下から何かを渡している委員長の姿があった。
「何やってるんですか?」
私が声を掛けると、二人とも同時にこっちを見た。
「あ…相原さん!」
その途端、ニヤニヤしだした宮田さんを見る限り、昨日のことがもう伝わっているのだろう。
私は、気付かないフリをして、もう一度聞いてみる。
「何で脚立に乗ってるんですか?」
「え?
あーこれね!玄関の電球、切れちゃったから取り換えてるんだよ。
雪也はただの押さえ係だけどね〜」
「なっ!
ちゃんと新しい電球を渡す係もこなしてるじゃないですか!」
宮田さんの一言に、いちいちムキになる委員長が面白くて、思わず笑みがこぼれた。
宮田さんは、本当にいつも明るい。
さっきまで、元気のない花梨さんを見ていたせいで、今日は、より一層、ハイテンションな気がした。
私がクスクスと笑ってていると、何やら宮田さんが委員長のことを肘でつついている。
その勢いで、委員長がバランスを崩し、一歩前へ出た。
「あ…のさ、相原…」