私だけの王子さま
私と委員長が交わした、初めての約束。
具体的には、何も決まっていないし、小指と小指を絡めたわけでもない。
だけど私は、委員長が誘ってくれたという事実だけで十分だった。
委員長との関係に、モヤモヤしていた気持ちさえ消えてしまうくらい嬉しかったんだ。
この時、私の頭の中からは、花梨さんのことなど一切抜けてしまっていた。
「あ、そうだ!
相原、3日後のこと、覚えてるよな?」
委員長が急に何かを思い出すように言った。
「え…3日後何かあったっけ?」
ここに来ること以外は、何も思い当たらない。
すると、委員長は、わざとらしく「はぁーっ」と大きなため息をついた。
「3日後、一応、登校日だから…」
「あ…」
すっかり、忘れていた。
うちの高校は、何故だか分からないけれど、学年ごとに登校日が違っている。
私たち二年生は、終盤になってからだった。