私だけの王子さま
「2日間、たっぷり遊んだ?」
委員長が私に問いかける。
「うん。
一昨日はフリータイムでカラオケに8時間もいたし、昨日は、母親を上手く言いくるめて、たくさん洋服買って貰っちゃた。
そっちは?」
何か、今まであまり話すらしなかった委員長と、教室で喋っていると、不思議な気分になる。
「あー俺は相変わらず、ホームに行ってたんだけどさ…」
委員長は、そこまで言うと、急に何かを考え込んでいる。
「…何かあったの?」
心配になった私は、様子をうかがいながら尋ねてみた。
「んー…。何かってほどでもないんだけど。
ただ、花梨さんの様子がおかしくてさ。
何か隠しているような感じがして」
「花梨さんが…?」
私は、3日前の花梨さんを思い出していた。
急に、私の予定を聞いたり、カレンダーを見てボーッとしたり…。
委員長との約束で有頂天になって、すっかり忘れていたけれど、確かに花梨さんは変だった。
「何かあったのかな?」
「うん…」
その時だった。
キーンコーンカーンコーン…
HR開始のチャイム。
私たちが、花梨さんの異変のわけを知るのは、この後すぐだった――。