私だけの王子さま
チャイムが鳴ってしばらく経っても、担任の来る気配がない。
いつもなら、チャイムと同時に教室に入って来るだけに、皆、この状況を疑問に思っているようだった。
すると―――
ガラッ!
様子を見に行っていた一人の男子が大きな声で叫んだ。
「担任、電車の人身事故で遅れるってよ!」
その途端、再びクラス中が騒ぎ出す。
私は、何をするわけでもなく、ただ窓の外を眺めていた。
今日は、朝から太陽を見ていない。
久しぶりに訪れた、今にも泣きそうな曇り空に、私の胸は、何となくざわついていた。
プルルルル…
プルルル…
誰かの携帯電話が鳴っている。
教室でくらい、マナーモードにしておけばいいのに…。
そんなことを思っていた時だった。
「えっ!?
それ、どういうことですかっ!?」
突然、教室中に響き渡った声。
その声は、明らかに委員長のものだった…。