私だけの王子さま
キキィ―…
ブレーキの音が、ホーム横に到着したことを知らせる。
「ありがとうございました!」
私は、すでに用意をしてあった代金を支払うと、運転手にお礼を言って外へ出た。
委員長とともに、駆け足で入口へ向かう。
頭の中は、本多さんのことでいっぱいだった。
でも―――…。
私の願いは、届かなかった。
自動ドアの前で立ちすくむ花梨さんの後ろ姿が目に入って来た時、
そう、確信した。
「花梨さん…」
委員長が、そっと花梨さんの肩に手を掛けた時、
ツーー…
花梨さんの頬に、一筋の涙が伝わるのが見えた。