私だけの王子さま
最後のメッセージ
「…1ヶ月くらい前から、話し合いが進んでいたの。
家族と一緒に、地方に引っ越して暮らすって」
事務所に戻ってから、花梨さんが教えてくれた。
「1ヶ月って、じゃあ夏祭りの時にはもう…?」
「…うん」
私は、言葉を失った。
私と本多さんが、一緒に過ごした短い期間。
それは、本多さんにとってのカウントダウンだったのだ。
それなのに、本多さんは、いつも私が来るのを楽しみに待っていてくれた。
こんな私に、舞さんの夢を預けてくれた。
折り紙だって、丁寧に教えてくれたんだ。
そして、最後に会った時、
‘ゆっくりでいい。私は見守っているから’
って…。
あの時、本多さんは、どんな気持ちで、私に接していたのだろう…?