私だけの王子さま
早いもので、本多さんがホームを去ってから、もうすぐ1週間が経とうとしていた。
長かった夏休みも、いよいよ明日が最終日。
今日は、午後からボランティアに行く予定になっていた。
夏休み最後のボランティア。
本多さんがいなくなってからも、ホームの人たちは、私を明るく迎えてくれている。
花梨さんも、だいぶ元気を取り戻していて、これまで以上に、仕事に励んでいるようだった。
私は、ギリギリまでかかってようやく宿題を終わせ、ホームに行く準備を始めた。
筆箱をしまおうと机の引き出しを開けると、本多さんからの手紙が目に入る。
まだ貰ってからそんなに経っていないのに、何回も読んだせいで、その端はすでにボロボロになっていた。
本多さんの手紙には‘さようなら’という言葉が書かれていない。
それが、遠くにいてもずっと見守ってくれているというメッセージのように感じられて、
私の心を強くさせていた。