私だけの王子さま




机の上に飾ってある、本多さんからの‘贈り物’を眺める。


それは、本多さんが、私と大切な人が結ばれることを願って作ってくれた物。



何枚もの折り紙を使って、丁寧に作られた、
王子さまとお姫さまだった。




‘もっと自分に、自信を持って下さい’


目を瞑ると、本多さんからのメッセージが頭に浮かんでくる。



きっと、最後に会った時、委員長との関係に弱気になっていた私を、元気付けてくれようとしたのだろう。



これから知らない土地で暮らしていく自分のことよりも、私のことを心配してくれていたと思うと、

本多さんの心の広さを改めて感じる。



もう会うことはないかもしれないけれど、本多さんが近くにいるような気がするのは、きっとこの手紙と贈り物のおかげだと思う。



…これがあれば、もう大丈夫なはずだ。



私は、心の中で、この夏2度目の決意を固め、傍に置いてあった携帯電話を手に取った。




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