私だけの王子さま



電話の相手は委員長。


普段は会って話すことが多いだけに、電話を掛けるのはやはり慣れない。


だけど、今はそれ以外に、委員長と連絡を取る術がないのだ。



なぜなら、実はあの日以来…

本多さんがいなくなった日以来、

委員長は、ホームに姿を見せていない。



花梨さんの話によれば、事情があって、夏休み中はもう来られないと連絡してきたそうだ。


だけど、その事情が何なのかは誰も知らない。


私も敢えて連絡をしなかった。


きっと委員長も、本多さんのことで、色々考えているような気がしたからだ。



でも、それも今日で最後。



そろそろ私たちも、前に進まなければならない。


いつまでも、曖昧な関係で悩むより、しっかりと自分の気持ちを伝えておきたいと思った。



遠くで頑張ることを決めた、本多さんのためにも――…。




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