私だけの王子さま
プルルルル…
プルルルル…
“はい、もしもし?”
三回目のコールで、委員長と繋がった。
「委員長?
久しぶり…」
“うん…”
何日かぶりに聞いた委員長の声は、電話のせいか、いつもとは少し違った。
だけど、相変わらず、私を安心させてくれる。
もう、私の心は、決まっていた。
「委員長、この間の約束覚えてる――…?」
“え―…?”
急に約束なんて持ち出した私に、委員長は驚いていた。
でも、すぐにこう言ってくれたんだ。
“うん。覚えてるよ。俺も電話しなきゃって思ってたんだ。
行きたいとこ、決まった?”
「うん…」
私は、大きく頷いた。
電話だから、見えるはずもないのに…。
だけど、伝えたかったんだ。
私の真剣な想いを――…。
「あのね!
明日なんだけど…」
私が口を開いた時、
窓からは、そろそろ泣き疲れそうな蝉の声が、
ミーンミーンと響いていた。