私だけの王子さま
―――その日のボランティアの帰り、例の公園を通り掛かった。
まだ少し明るいせいか、賑やかな声が聞こえて来た。
約1ヶ月前、私がどん底に突き落とされた時に泣いていたブランコに、今日は小学生くらいの子どもたちの姿がある。
寂しそうに置かれていたスコップも、今は小さな子どもの手の中で笑っていた。
ここは、私にとって大切な場所。
それは、たぶん、いつまで経っても変わらない。
委員長と初めてまともに話したのも、
委員長への恋心に気付いたのも、
委員長と初めて待ち合わせをしたのも、
全部、この公園だった。
今の私を作ってくれた場所なんだ。
私は、この夏の思い出を振り返りながら、小さく呟いた。
「ありがとう…」
明日は、私にとっての
運命の日―――…。