私だけの王子さま
最終章 夏の終わり、恋の始まり
想いを告げる時
―――翌日。
いよいよ迎えた夏休み最後の日。
そして、私と委員長の約束が果たされる日。
朝早く家を出て、私たちが向かったのは、
家から30分ほどの所にある海岸。
昨日の電話で、私が行きたいと言った場所だった。
「ごめんね。忙しいのに急にこんな所に行きたいなんて言って…」
目的地に着くなり、謝る私に、
久しぶりに会った委員長はいつもの穏やかな笑顔を見せる。
「ううん…。約束だし。
それに、もう忙しくないから、大丈夫だよ」
…こうして、普通の会話をしているだけなのに、私の心臓はいつもよりも騒がしい。
いくら心を決めて来たとは言え、きっと、これから言おうとしていることに対する漠然とした不安があるからなのだろう。
そんな私の気持ちなどお構い無しに、浜辺では、複数の家族連れが、賑やかな雰囲気を楽しんでいた。