私だけの王子さま
サァ―――…
突然吹いてきた風に、私の長い髪の毛がなびく。
委員長は、まだ、私の話をよく理解していないようだった。
「え…?
舞さんの夢って…
あの‘お姫さまになる’って夢…?」
私は、声を出さずに、首を縦に振った。
そして、未だに治まらない胸の鼓動と戦いながら、ゆっくりと続けたんだ。
「私…
舞さんの夢が途切れたこの場所で、
今日、新たな一歩を踏み出したいと思ってる。
その夢を、引き継ぐために。
だから今日、この場所に、委員長と二人で来たいって思ったの…」
持っていた鞄をギュッと握る。
そこには、本多さんからの手紙と、
最後の贈り物である折り紙で作られた王子さまとお姫さまの人形が入っている。
―――本多さん。
どうか私に、
勇気を下さい―――…。
「委員長…、私…
委員長のことが…
好きだよ」
私が想いを告げた時、
また、強い風が吹き抜けていった。