私だけの王子さま
―――本多さん…
そんなこと書いてくれてたんだ。
私たちのために、
しわしわの手で書いてくれた手紙。
‘柚季ちゃんをよろしく’
委員長から聞いた、その一言に、本多さんの思いやりが溢れている。
「…その手紙を読んで、もっと強くならなきゃって思った。
俺の心の傷を受け入れてくれた…相原のためにも、自分の目の前にある問題と向き合わなきゃいけないって…」
「…それで、ご両親と?」
私の問いかけに、委員長は力強く頷いた。
「あと…アキラ先輩にも会いに行ったから」
「え…?」
アキラの名前が出たことに驚きを隠せない。
急に不安が押し寄せてくる。
でも…。
「二度と俺たちに近付くなって言ったら、悔しそうに吐き捨ててたよ。
‘勝手にしろ’って。
両親も、きちんと向き合ったら、ちゃんと気持ちを理解してくれた。
だから…」
そこまで言うと、委員長は抱き締めていた腕を緩め、私の身体をそっと離した。
そして、委員長の優しい瞳と、
私の涙をいっぱいに溜めた瞳が
ぶつかり合う――…。